つぶやくふたり

talk about housing

会津亜紀 (以下A):こんにちは。今日のテーマは世界基準のすまいづくりですか!
ずいぶんとまた壮大なテーマですねえ。 

志水龍(以下S):壮大なテーマですが、身近な問題でもあるんですよ。亜紀さん、携帯や家電のガラパゴス化って聞いたことあるでしょう?日本国内の市場向けに技術開発に頑張っていたら、気づいたら世界の潮流からは大きく離れていたっていうものです。
日本の住宅でも、そのガラパゴス化が起こっているんですよ。 

A:そうなんですか、知りませんでした。
確かに日本の住宅は狭いし、、、そういう点なんですかね。 

S:そういう広さや意匠デザインの話は置いておいて、住宅のハード面ですでに世界基準から大きく取り残されたところにいるんですよ。 

A:えっ、それって根本的に相当立ち遅れているってことですよね。
そんなに遅れています?日本の住宅って?実感があまり湧かないー。 

S:そうなんですね。日本の住宅と世界の住宅を比べる上で、とても大きく違うことがあるんですが、なんだか分かります? 

A:うーん、なんでしょう? 

S:それはですね、室温なんですよ。 

A:室温?!日本の家は寒いってことですか?確かに北欧などヨーロッパの家は冬でも暖かそうなイメージがあります。外ではコートを着ていても、室内ではみなさん薄着ですね。 

S:そう、一言で言えば夏暑くて、特に冬寒いということですね。
海外では、室温18度以下は基本的人権を脅かす室温と言われているそうです。 室温が下がれば病気になる確率も上がるというのは、最近の研究では定説になっているんですよ。 

A:え、なんかショックです。冷えは万病の元って言いますしね。私も年々寒さに弱くなっているのを実感しているので、将来が怖い。。 

S:ヨーロッパではしっかりとした断熱基準で家が建てられているので、家全体の温度が一定で暖かいです。寒い場所がないというのは大事で、ヒートショックなどの事故が起こりにくい。日本の家はリビングなどは暖房で暖かくても、玄関近くのトイレや浴室などが寒いですよね。 

A:ヒートショックで毎年、たくさんのお年寄りの方がお亡くなりになっているのは知っています。 

S:交通事故で亡くなる方より、ヒートショックで亡くなる方が数倍多いんですよ。麻痺が残ったりしてその後の生活に不自由になる方もいます。そうなると生活の質が明らかに落ち、他の家族にも負担がかかります。
健康で長生きすることと、住宅は実は大きく関係しているんです。 

A:うーん、健康であることはすごく大事。欧米では暖かな家が建てられているのに、日本では暑くて寒い貧弱な家ばかりが建てられてきた、、、なんでなんでしょう?

S:理由の一つに建築基準法があると思います。戦後すぐにできた法律で、焼け野原になった日本に、できるだけ速やかに住宅を供給するのが目的で建てられた法律です。質より量で住宅を供給してきたんです。 

A:戦後すぐなら分かりますが、それが平成を超えて令和まで続いている? 

S:阪神大震災など大きな地震が起きた後に、見直しなどはされていますが、基本的には質より量の住宅を供給し続けてきましたよね、残念ながら。。
地震による倒壊で死亡しない家、という基準で作られた法律といってもいいと思います。 人が住まう時に快適と感じる環境(温熱環境)を作るという概念そのものが建築基準法には無いのです。 

法律で規制されてないから、そのような環境を作るという概念が日本の家づくりには長く無かったのですよね。 

A:うわー、もうショックの嵐ですね。
毎年寒い暑い言いながら暮らしている私たちは、すごい住宅後進国に住んでいるんだ、、、そこまで考えたことなかったので言葉もないです。 

S:もちろん、そういった状況を変えようと、高性能住宅の普及に頑張っている工務店さんもたくさんいてYouTubeなどで発信をされてますよ。
さらにですね、温熱環境を整えるとプラスになることが付いてきまして、省エネ住宅になるんですよね。 

A:暖かい涼しいを維持しようとしたら、光熱費はかかりそうなイメージですが、省エネなんですね? 

S:はい。作った熱を逃さないということを徹底しますから、基本は冷暖房は夏冬一台ずつのエアコンで賄えます。神奈川県は特に冬の日差しが暖かいので、太陽の力を取り入れたパッシブ設計を行い、冬のエアコンの稼働も最小限にしていきます。極力エネルギーの無駄使いをしないので、気候変動などの環境問題にも対応しているのです。 

A:なるほど、無知で恥ずかしいのですが、新築の高性能な住宅って窓も開けられず自然じゃないような先入観があったんです。断熱、気密などの字面から、壁ばかりの家を想像してしまっていました。そうではなくて、人にも環境にも優しい家のことだったんですね。 

S:字面から、、笑。高性能住宅っていうのは、本来冬暖かく、夏涼しい、地震などの災害にも強い家という意味なんですよ。安心、安全、快適、最も大事な家の要素ですよね。そこに日本ならではの素材を使った意匠デザインを施したら、世界基準でありつつ、地域の独自性を持った素敵な住宅になると思いませんか?まさに Think globally Act locally という感じだと僕は思います。 

A:おおー、景観にも配慮した高性能な住宅がたくさん建っている未来を想像すると、ワクワクします。まさに世界に誇れる日本の住宅って感じがします。  

S:ですよね。一緒にそんな未来を作っていきましょう。

↓住宅の断熱に関する新しい設計基準HEAT20についてYoutubeにまとめてありますので、ご覧ください。

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