つぶやくふたり

talk about housing

井上房一郎邸

会津亜紀(以下A):志水さん、私、最近だいぶ高気密高断熱の家の施工について理解が進んできました。とにかく大敵は水なんですよね、とにかく室内、室外の水分を躯体に触れさせない。壁内に入った湿気は通気層へ放出して外に逃す。イメージがやっとついてきました。で、この図を見て思ったんですが、、、

通気層工法について
(デュポン社タイベックのカタログより引用しました)

この場合だと、内装材より壁の中心側にくる配線類はどこを通すんですか?何回かリノベーションをやっていて、配線の取り回しについては結構気になるのです。

志水龍(以下S):おお、亜紀さんらしい質問ですね。この図だとちょっとわかりにくいですが、通常、内装材と防湿シートの間に空間は無く、配線は防湿シートと断熱材の間に通すことになりますね。

A:でもそうすると、配線の部分は防湿シートに切り目を入れなきゃならなくなりますよね?

S:そうです。その部分は防気カバーというものをつけて施工したりしますが、どうやっても穴は開くわけで、、完璧な施工というのはかなり難しいです。

A:そうですよね。その小さい穴から室内の湿気は躯体に行ってしまうから穴は開けたくない気がしますね、コンセントだけでなく、ダウンライトなどかなりの量の配線があるわけですからね。

S:僕がやってきた新築住宅の事例だと、内装材と防湿シートの間に空間を作ってそこに配線を回していました。これだと防湿シートに穴を開けることなく、自由に配線が取り回せます。コンセントの増設なども割と気軽にできると思います。

A:おお、なるほど!良いですね!

S:問題点もあります、、。この空間があると省令準耐火構造の家という認可を受けることができないので、火災保険の割引などの優遇措置を受けられなくなります。この辺りはクライアントの方と応相談になります。

A:なかなか、パーフェクトは難しいんですねえ。

S:今、これに関して僕が考えているアイディアが2つあるんですけど。1つ目は日日とで湿度対策として推奨している高床の場合、電気関係の配線を床下に回すことが可能です。コンセント穴も床に配置。コンセントボックスのようにして存在を隠すこともできます。

A:コンセントは壁という固定観念がありましたが、床ですか、なるほど。志水さんの設計の場合、床下も室内と同じ環境になるわけですから、薄暗い、カビ臭い床下の中で配線をネズミやハクビシンにかじられた!みたいな不幸な事態にはならないわけですね。

S:ネズミやハクビシン。。鎌倉だとありそうですね。日々の点検も容易ですし、いずれメンテナンスは必ず必要になるので、その時に壁に手を加えなくても床下に入るだけ済むというのはメリットですよね。

2つ目のアイディアは、天井に回さなくてはならない配線は、カッコいいデザインとして「見せる配線」をするということです。

A:見せる配線?

S:例えば配線をダクトの中にしまって、そのダクトをデザイン的に納めるとか。床下配線ほどではないけれど、やはりメンテナンスはそれほど難しくないです。

A:倉庫のような内装のところでみる感じですね。斬新ですね。

S:斬新かな?これは群馬県立美術館にある旧井上房一郎邸(アントニン・レーモンド設計)ですけれど、こんな感じをイメージしてもらうと近いかもしれない。

井上房一郎邸
旧井上房一郎邸(美術手帳のHPより引用しました)

A:わお、想像していた倉庫デザインとは違う、落ち着いた感じですね。素敵です。デザインの端々に過去のデザイナーへのオマージュがあるところ、建築好きにはたまらないポイントですね。今度は志水さんの好きな住宅建築について話しましょう!

S:そういう話ならずっとできますよー、笑。では次回に!

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