性能向上リノベーション その②〜床断熱・天井断熱〜
あえて時期をずらした「天井断熱」
S: 前回は窓のお話でしたが、今回は「床と天井」ですね。この家、工事の進め方が変わっていましたよね。
A: そう、工事のタイミングをずらしたんですよね。 リノベーションのメイン工事は8月でしたが、天井裏の断熱だけは10月の半ば、きちんと秋が来るまで待ちました。
S: 真夏の屋根裏は50度を超えますから……。職人さんの安全と、何より丁寧に施工してもらうために「涼しくなってからやりましょう」ということですね。
A: そうです。床下の断熱は、8月のうちに行いました。 今回、床下は「発泡ウレタンの吹き付け」を、天井裏は「グラスウールの吹き込み」という工法を選びましたが、この2つの工法についても少し詳しく教えてください。
S: はい。これは古くからある布団のような断熱材を敷きつめるのとは違います。
「発泡ウレタンの吹き付け」は液体ウレタンを霧状にして吹き付け、現場で化学反応で発泡・硬化させる方法。
「グラスウールの吹き込み」は小さな綿(わた)のような形状のグラスウール繊維をトラックから家の中までホースで送り込んで、天井裏に雪のようにグラスウール繊維を積層していくイメージですね。
A: 雪のように、ですか。
S: ええ。今回天井は厚さ300ミリになるようにお願いしました。写真では350ミリの高さまで積もっていますが、今回の職人さんがサービスしてくれました。
布団のような断熱材は、柱や梁の形に合わせて隙間無く敷き詰めるのが難しいのですが、この工法だと手間がかからないので普通の家であれば1日で終わります。今回の作業時間は5時間ほどでした。隙間なく均一に施工できるので、断熱効果がアップするのが最大のメリットです。

施工前の天井裏の様子、断熱材は敷いてありますが50ミリ程度で隙間が多い


左が施工前、右が施工後の天井裏
家計にも、体にも優しい家
A: 工事が終わった次の日に、Y様から「寝室の朝のひんやり感がなくなりました!」と一報が来たのを覚えています。そして、いよいよ迎えた初めての冬。その後の暮らしを伺ってきました。
S: 11月、12月と一気に冷え込みましたもんね。どう仰っていましたか?
A: まずは11月の光熱費です。電気代が1万3千円ほど。ガス代や水道代を全部合わせても、月2万円程度だったそうです。
S: このご時世に、優秀ですね。
A: そうですよね。今は電気代だけでも2万円以上かかるお宅が多いじゃないですか。さらにエアコンでは部屋が暖まらないので灯油やガスなど他の暖房器具を使って。
S: 築30年、軽量鉄骨の家を普通に暖めようとしたら、今のエネルギー価格では相当な金額になるでしょうね。
A: はい。それが1台のエアコンだけでこの環境が作れるのですから、良いなあと思います。
以前の状態なら、各部屋で暖房をフル稼働させても足元がスースーしたはず……。1台だけで済むと、管理が本当に楽ですよね。
S: 電気代節約の為にあちこちのエアコンのスイッチを気にする必要もありませんからね。
A: そうなんです。毎朝、エアコンのタイマー設定で22度で3時間ほどつけるだけだそうで。あとは断熱層が熱をしっかり捕まえてくれるので、晴れた日なら夕方まで暖房はつけなくても寒くない。しかも、それだけ暖かいのに室内の湿度が60%ぐらいと、すごく潤っているんです。
S: 冬場に60%は理想的ですね。エアコンに頼りすぎると過乾燥になってしまいますからね。
A: はい。今は一台のエアコンを控えめに動かすだけで家中が暖かいので、心地よい潤いも保たれているんですね。
S: 家の断熱を固めたことで「エアコンに頼りすぎない暮らし」ができた。その副産物が、この快適な湿度というわけですね。
A: Y様は以前、大手メーカーの新築の賃貸集合住宅に住んでいらっしゃったのですが、「その時よりも、圧倒的に今の家の方が暖かくて快適です」と仰っていました。築年数の新しさよりも、今の暮らしに合わせて性能をアップデートしたことが、住み心地に直結するのですね。
玄関を開け放しても、ずっと暖かい
A: 数字もそうですが、何より「体感」が全然違うと喜んでいらっしゃいました。 真冬の明け方、暖房をつけていない状態でも室温が18度くらいあるそうです。18度あれば、朝起きるのが億劫になりませんね。
S: 昔の家なら、朝は外気温と変わらないくらい冷え込んでいたはずですからね。欧米諸国の法律で決められている冬の室内最低温度の18度をクリアしてます。
A: 私が伺ったのは、冬休みの午前11時頃でした。 外は風が冷たくて、最高気温も10度届かないような日。でも、お家の中に入ると、ふわっと柔らかい暖かさに包まれて。
S: エアコンの風で暖めているのとは違う、独特の心地よさですよね。
A: そうなんです。壁や床そのものが熱を蓄えているような、じんわりとした「輻射熱(ふくしゃねつ)」の暖かさなんです。 リビングと一続きになっている玄関ホールでは、お子さんたちがまだ薄着のパジャマ姿でリラックスして遊んでいました。普通、冬の玄関付近って寒くてとても遊べないですよね。
S: 家中どこへ行っても温度差がないからこその光景ですね。
A: その後、「外で遊ぶね!」とトレーナーに着替えて、お庭へ飛び出していく子供たち。 私は、玄関のドアを開けたまま見守るY様と並んで、しばらくお話ししていました。
S: 玄関、開けっ放しでしたか(笑)。
A: はい(笑)。
でも、ドアを全開にしているのに、冷える感じもなく、家の中の暖かさに安心感があって。
「外は寒いのに、この家の中は別世界だなあ」と思いながら、確かな断熱の力を肌で感じました。
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最後に夏の断熱効果についてです。
今回は冬の暖かさを中心にお伝えしましたが、実は断熱の真価は「夏」にも発揮されます。
Y様からは、すでに夏の冷房の効きの良さについても嬉しいお声をいただいています。 2026年の夏、今回のリノベーションが梅雨や猛暑をどう快適に変えたのか、改めてご報告します。
どうぞお楽しみに!

