鎌倉で高性能住宅を建てる!I邸プロジェクト②〜土地探しの合間にやっていたこと、ついに土地が見つかった〜
(2022年5月〜8月の流れです)
S:土地探しと並行して、少しずつI様の家への想いのヒアリングも始めましたね。
A:はい。きちんとした性能の家を建ててほしいという希望がベースにはありましたが、家事関連の設備はどうしたいか?とかどんな雰囲気がお好みか、とか。
私と奥様で好きなエリアを散歩して、ランチに行きながらおしゃべりしたりしたこともありますし、志水さんを交えて打ち合わせをしたこともありましたね。
S:亜紀さんのコラムを読んで海外製食洗機が欲しいと思ったとか、ね
>参考コラム:「海外製家電ってどうなんだろう?+生活スタイルにあった家電や家事動線」
A:カンタくんは必要か否かで議論したり。
>参考コラム:「私たちが設計に入る前に行いたいこと」
S:いざ土地を購入して家づくりが始まってしまうと、こういう話をしている余裕が時間的に難しいこともあるので、土地は決まっていなくても考えていることを伺っておくのは大事なことだと思います。
A:志水さんが言っていることが最近とても腑に落ちている私です。共有した時間や情報のベースがあるって本当に重要です。
S:ちょうどその頃、西側に開けた眺望の良い土地の検討もしましたね。
A:そうですね。海の近くの急な坂を上がったところの小ぶりな土地でした。西側に大きな窓をとる志水さんのプランに、ワクワクしましたねえ。「その土地の良いところをどう料理するか、それが大切なんです」という志水さんの名言も聞けましたし。
S:ははは、よく覚えていますね。残念ながらその土地は隣地との境界の擁壁やり直しに多くの費用がかかりそうなことや駐車場を作るスペースが無い(I様自身は車を所有されない予定でも、将来的な売却を視野に入れ駐車スペースを確保したいとお考えでした)などの理由で見送りました。
A:土地の検討は不動産屋さん、工務店さんと密に連携をとり、迅速にお客様の疑問に答えていく必要がありますね。志水さんがラフプランを作るスピードが早いので毎度驚かされました。
S:特に鎌倉は良い土地が出ると、すぐに売れてしまいますからスピード感は大事にしてます。事前にお客様との関係が築けているので、プランを作るときにも好みを反映しつつ、素早く作ることが出来たと思いますよ。
A:そうですか、なるほど。
そのようなことをしているうちに、現在の土地が出てきました。不動産屋さんの上岡さんからは「少し小ぶりですが、良い家建ちそうですか?」との第一報でしたが、最初にこの土地の情報をみられて、志水さんはどう思いましたか?
S:確かに小ぶりでしたが工夫のしがいはあるな、と思いました。東側はそれほど高くないけれど崖があり、西側は道に面していてその先には歴史保存建築物、南北は隣地の建物が建て込んでいますが、ユニークな東西の工夫で乗り切れそうだな、と。
高性能住宅はランニングコストがあまりかからない分、建築費は高くなりがちです。広い土地に、大きな家を建てると建築費が予算オーバーになることも。なら初めから小さい土地にこじんまりした家を建てるつもりの方が性能もデザイン性も高い家がキープできるメリットもあります。
A:ふむふむ。この土地は相場に比べて少しお安めであったことも有り難かったですね。
S:本当に。売主さんのご厚意で「良いうちが建つならぜひ」と、交渉の余地を持たせてくれていましたからね。高性能住宅はランニングコストが低くて住む分、イニシャルコストはそれなりにかかりますので、お若いI様ご夫婦にとっては少しでもリーズナブルに土地を手に入れるということも大事な条件です。
A:東側の崖の影響で、敷地の一部がレッドゾーンやがけ条例にもかかっていたので、工務店さんにその対策費用の概算を出してもらいつつ、埋蔵文化財の調査が必要な地域でしたので工期が大幅に伸びる可能性をI様にご説明をしました。
購入を決めるのはお施主様ですけれど、いろいろな方向性から検討材料を提示するのは私たちです。不動産屋さん、工務店さんのみんなとチームで対応していく、そんな感じでした。
S:家づくりって、本当にチームの仕事なんですよ。設計士がいただけでは何も始まらない。お施主様含めて良いチームになることで、良い家が建つと僕は思っています。
日日と土地探しのポイント
- 土地には必ず長所短所がある、長所をどう活かすかを考えること。
- 土地は複雑、家が建つように土地を整理すると金額がどれくらいかかるかを検討すること。
- 小さいと思える土地も、企画住宅でない自由設計は、短所を長所に変えることもできる。
- がけ条例やレッドゾーンの土地も、うまく対応できれば、安価に土地を入手できるチャンス。
次回コラムに続きます。鎌倉で高性能住宅を建てる!I邸プロジェクト③〜購入したのはレッドゾーン、がけ条例、埋蔵文化財の発掘調査が必要な土地。さてどうやって進めていくか?〜