つぶやくふたり

talk about housing

(2022年11月から2023年3月の流れです)

A:志水さん、こんにちは。
ここのコラムで報告するのは少し間が空いてしまいましたけれど、I邸プロジェクト、着々とすすんでいますので、今日はその話を。

S:そうですね。僕らの備忘録としても整理しましょう。

A:前回は、設計の工夫で乗り切れそうな、小ぶりの良き土地が見つかったところまでお話ししました。その後、不動産屋さんや工務店さんとも連携して、お客様の予算内で土地、設計、工事まで収められそうという予測がたち、売主さんとの金額の折り合いもついて、秋の初めに売買契約が交わされ、無事お施主様の土地になりました。

S:ここからはまずは諸条件を整理していく作業が始まります。
今回は何より東側のがけ対策が重要でした。
僕は鎌倉のがけについて知見が少ないので、葉山在住の設計士の方に入っていただくことにしました。

A:この地域のがけ対策の方法や、市役所や民間の確認申請機関とのやりとりに慣れているので心強かったですね。

S:いくつも設計を手がけている地元の設計士の方でも、その都度、がけについては関係機関と協議して決めていくそうで、なかなか手間のかかる難儀な部分ではあります。

A:今回の土地は土地の1/3ほどが土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)にかかり、がけ条例にもかかっています。

S: 土砂災害特別警戒区域、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)は国土交通省が、がけ条例は市町村など自治体が管轄しています。

A:まず、私たちはがけ条例対策、レッドゾーン対策の両方も行う場合を考えて動き始めましたよね。

S:そうですね。
がけ条例対策としては、崖から流れ落ちると予測される土砂の衝撃力に対する防護壁を作らなくてはなりません。これが結構な構造物になるので、金額もかかりますし、土地のスペースも必要になります。

A:一方のレッドゾーン対策というのは、、

S:建物本体で行います。
想定される衝撃を受ける高さ以下の部分を、鉄筋コンクリート(RC)造の耐力壁にする必要があります。これも木造よりはお金がかかります。

A:2つ行うとなると、かなり予算がかかりますね。
通常レッドゾーンにかかっている土地は相場より安い値段で出ていますが、これからかかるであろう対策費を考えてそのような値段に設定されている、ということですか?

S:まあ、そんな感じなんでしょうね。
ただ、正確にその土地でどのような対策が必要か?いくらくらい予算がかかるか?ということは、売主さんや不動産業者さんも明確にして売ってくれている場合は少ないんじゃないでしょうか?
なんだか不親切だなあと感じますね。

A:うーん、特に鎌倉は斜面に面した土地がたくさんありますからね。買う側としてはある程度、対策費がかかることを想定しつつも、最後はえいやっと決断するしかない感じになっていますね。
「思っていたよりがけ対策に費用がかかってしまった」というお話も耳にすることがあります。
今回はそのようなことがないように、不動産屋さんだけでなく、事前に工務店さんにも入っていただき、がけ対策の費用を見積もりできていたのは良かったですよね。

I邸プロジェクト④に続きます〜

関連記事一覧