つぶやくふたり

talk about housing

除湿はエアコン

A:志水さん、こんにちは。
今日は5月に竣工した西御門の家のその後の経過を話題にしようと思っています。

S:ちょうどひと夏過ぎたところですね。

A:今年の夏は鎌倉もかなり暑かったですね。
10月半ばになってやっと秋を感じられるようになってきました。
このグラフは6.7.8月の西御門の家の室内温度湿度の変化です。

2024年6〜8月のリビングの温度湿度の変化

S:6月は竣工直後ということもあり、基礎コンクリートの放湿が多く湿度が高めですね。
気温が上がってくるにつれてエアコンもきちんと稼働して除湿を行うので、7、8月は湿度が低くなっています。
平均して夏の室温が27℃程度、湿度が60−65%であれば、まずまず快適という感じでしょうか。

A:私の体感的な経験値では湿度が65%をを超えてくると「不快」に感じてきますね。
「新築住宅は基礎コンクリートの放湿がある」というのは、聞いてはいたのですが、結構あるものだなとは思いました。
最初の年、基礎コンクリートからの放湿を上手に管理することは、カビに発生させないためにも大事ですね。

S:今回は湿度が一番高くなる時期に入居したということもあり、お施主さんも大変だったかなとは思います。これが冬入居だと、ちょうどいい加湿具合になるのですが。

A:そうなのですね。コンクリートの放湿って大体どれくらいで落ち着くのでしょう?

S:僕の経験だと1年くらいですかね。その後も数年かけて緩やかに放湿はされますが、最初の年はやはり湿度は高くなります。
来年の夏はこれより5パーセント以上は湿度が下がるはずです。

A:放湿がある間の除湿は何でするのが良いですか?

S:エアコン一択ですね。以前もコラムで亜紀さんがまとめていましたが、除湿能力というのは除湿機よりもエアコンの冷房運転が一番です。

A:除湿はエアコンでしたね。

除湿にはエアコン一択

鎌倉でのエアコンの使い方のおさらい

A:ここで高性能住宅の梅雨時から夏のエアコンの使い方のおさらいをお願いしたいと思います。

S:はい。エアコンは室内を冷やすために使うというイメージがありますが、鎌倉は湿度が高いので除湿を目的とするのが大事だと僕は考えます。

A:除湿機よりもエアコンの冷房運転の方が除湿能力は高いですしね、除湿はエアコン(繰り返し)。

S:はい。エアコンの冷房は5月で夏日になる頃から使い始め、梅雨に入ったら連続運転を始めることになります。
除湿能力は「最低設定温度の18℃で、弱風で継続的に冷やし続けること」が一番効果的です。
ただこれだと、冷えすぎて結露が心配ですので23度くらいで様子を見始めるのが良いかと思います。

A:梅雨の時期は外気温が設定温度より低いこともあり、冷房がよく機能しないで送風になってしまうこともあるとは思いますが、そういう時はどうすればいいですか?

S:その時は結露に気をつけながら設定温度を下げていく感じですね。

A:でも、下げすぎると湿度は下がっても、寒いと感じることがありそうですね。

S:その場合は、床下の暖房用エアコンを稼働させてください。
暖かい空気と冷たい空気を循環させて室内をむらなく快適にできると思います。
高性能住宅ではまず室内全体を満遍なく冷やすということが大事ですので、部屋を締め切ったりせず隅々までエアコンの空気が回るようにしてください。冷気は下に下がり、暖気や湿気は上に上がるので、うまく循環されます。

引き戸を多用したのは、開け放って使うことで、家全体をムラなく快適でにできるように

A:なるほど、理にかなっている。室内干しの洗濯物から出た湿気も、上部に上がって除湿されるというわけですね。

S:そうです。できたらサーキュレーターなどで高速の風を当てて短時間で乾かすのが良いと思います。一気に放出された湿度はエアコンによって感知されて除湿されます。洗面室の上部にある小窓を開けることもお忘れなく。

写真右上の小窓、熱と湿気を上に逃すための窓です

A:はい。で、盛夏ですが、これはもう冷房の連続運転ですね。

S:ええ、この頃になると外気温が30度を超えてくるので設定温度は23度ぐらいで冷房が機能してくると思います。

A:エアコンは外気との温度差で冷房運転を完全に止めるのはいつくらいでしょうか?10月半ばの現在も昼間はかなり暑い日もあります。

S:今年はかなり長く使うでしょうね。6月から10月およそ5ヶ月間ですね。長い間になりますので、エアコンをいかに使いこなすかが、快適環境を手に入れる鍵ですね。
もちろん秋になって窓を開けて快適な日や時間帯は開けて楽しめばいいと思いますよ。その時エアコンは切っても切らなくても良いと思います。エアコン内のカビの発生を考えれば切らない方がベターではあります。

体感温度の個人差は家電をうまく活用して

A:お施主様に伺うと、男女で体感温度が結構違うようでした。
快適な環境を作っても男女差や年齢差の問題は出てくのかな、と。この辺りはどう解決すれば良いのでしょうか?

S:女性の方が室温高めを好む傾向にありますね。室温が高くても湿度をある一定レベルまで下げれば、男性でもかなり快適になると思います。

A:わかります。
我が家も室温28度台でも、湿度が60%以下だと、私より暑がりの家族も暑いとは言わないですね。
先ほど志水さんが言われたように、鎌倉の夏の空調は室温を下げることより除湿することをメインと考えた方が良いなと腹落ちしてます。
あとは扇風機、これが結構役に立つなあと思います。

S:はい。風は非常に重要です。風速1m/秒(軽い風)で約1〜2℃体感温度が下がると言われています。
男女や子供と大人で違う体感温度の違いを、風を起こすことによって調整する、高性能住宅と扇風機は相性が良いです。
湿度が低いと、扇風機の風が涼しく感じますしね。

A:西御門の家の場合、やや奥まっている和室などは、階段室の冷気を室内に入れる意味でも扇風機やサーキュレーターがあってもいいのかなと思いました。

S:そうですね。
小屋裏のエアコンからの冷気をダクトで引いて和室に入れていますが、PC作業などをするとどうしても機器から熱が出ますので、、、そのような工夫はしていただきたいと思っています。特にDCモーターのものは電気代も非常に安く済みますし。

A:そうですね。今は、コードレスのサーキュレーターも出ているし、便利だなと思います。家電の使い方はお施主様の実践力が試されますね。

S:1階の寝室には追加のエアコンが付けられるように準備はしてあります。もしお子さんがこの部屋に個室持つようになったらエアコンをつけてあげるのが良いと思います。

将来エアコンをつけられるように配管のルートが確保してあります(写真右側)

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