つぶやくふたり

talk about housing

鎌倉から少し離れた小田原、良い場所たくさんあります。

A:志水さん、こんにちは。
最近、「本当に建築費用ってすごい上がっているな」ということをヒシヒシと感じます。住宅業界にいるものとしては仕方ないなあ、と思う反面、私が施主だったら、、と考えてしまってジレンマを感じます。

S:身の回りのものの値上がり幅を考えると、自ずと家も、ではあるのですけれどね。
だからと言って「高いですよ!」とお施主さんに伝えすぎて、家づくりでやりたいことを最初から諦めるというのも本末転倒ですが。

A:そうですね。
建築費は上がっているけれど諦めずに注文住宅を建てるとなった場合、特にこの地域では土地の価格をいかに抑えるか?ということが最大のポイントですね。

S:京都も高くなりましたけれど、鎌倉も高くなりましたからねえ。

A:土地は値段としてついている価格の他にも、取得するのにかかる費用だったり、買ってから家を建てる前に必要な費用もあるので、このことは念頭に置いた方がいいですよね。
ネットで土地を見ているだけだとわかりにくい部分ですね。

S:そうですね、水道を引き込んだり、隣家との境目のブロック塀を直したりなども、地味だけれど忘れがちです。

A:あと、土地探しを始めたばかりの人は、駅近、平坦、敷地内駐車場など理想が高めですよね。

S:もちろんそういう土地が理想ですけれどね。それなりの予算を持っていても、なかなか見つけるのは難しいと思っておいた方がいいですよね。

A:土地の高騰、コロナ禍以降にはじまったように思われている方も多いですけれど、私が引越ししてきてからの10数年間をみていても、ずっと鎌倉の土地は高いと思います。
同世代で、土地を買って注文住宅を建てたご家庭はそう多くはありません。
でも自分なりの土地を見つけて、魅力的な家を建てた人もいて、そういう方たちの共通点は何かな〜と考えてみました。

S:何ですか?

A:言ってしまえば元も子もないですけれど「何かを諦めること」、だと思います。
例えば友人に、3年ほど前に建てた自宅を古美術ギャラリーにしている方がいます。
彼らの家は心臓破りの坂の上にあり、車も持たないので便利な生活ではないと思います。
でも、大変だよー!と言いながらもどこか楽しげ。
最近ミラノの建築の賞をとったらしいです。
唯一無二な抜け感と眺望、センスの良い美術品が詰まったその空間に浸りたくて、みんなせっせと坂を登ってやってきます。

S:僕も遊びに行かせてもらいましたけれど、あれはすごかった。施主力を感じましたねー。

A:山を背負った崖の中腹に注文住宅を建てた友人もいます。
眺望も良く広いけれど、駐車場は階段を降りた崖の下にあります。
ご主人が材木を階段の上まで運び上げたそうです。
林道のような階段を登りきると彼らの家しかない原っぱのような土地が広がっていて、子供たちは走り回って遊び放題。

どちらも土地の値段が周囲の平坦地に比べてだいぶ安かったと聞いています。

S:利便性を諦めることで広がる世界があるってことですよね。そういう割り切り方は絶対必要になると思います。

A:もし許されるなら、エリアを拡大して考えてみるという方法もありますよね。
私が大好きなのは横須賀、三浦、小田原エリアです。
特に三浦半島の先の方は古き良き海辺の雰囲気が漂っていて、ふらっと遊びに行きます。
そのエリアには友人家族が住んでいますが、地元の美味くてリーズナブルなパン屋さんを教えてもらったり、ワイン屋さんを覗いたり。
地価の高いエリアでは出店が難しそうな良いお店が点在していて、こういう生活もいいなあ、と思いますね。
友人はすっかり釣りが趣味になって、楽しそう。

S:僕も今、滋賀県で土地をみてるんですよ。琵琶湖も見える高台で、駅までは徒歩、電車に乗ったら京都まで30分。土地は50坪古屋付きで古屋付きで100〜200万。もはや京都市内とと比べることすらできません。
この場所で、実験的な住宅を建てて住んでみようと思っているんです。

A:面白そう〜。
そういう場所の方が、温かいコミュニティが残っているような気がします。

S:そう、歴史があって昔から住んでる人がいるエリアは、やはり豊かな気がしますね。

A:わかります。
今の私のうちは駅から徒歩30分ほどかかる昔ながらのエリアですが、隣近所とのお付き合いが程よくて、すごく居心地が良いです。
いろいろな年齢層の人がいて、一人暮らしの方もいるので、少しずつ気にかけあって暮らしています。
以前10年ほど住んでいた、駅徒歩15分のエリアとはコミュニティの雰囲気が違うんです、不思議ですよね。
どっちが好きかと言われたら、断然今のエリアです。

S:確かに亜紀さん宅には、しょっちゅう近所の方がやってきますよね。お裾分けだったり、パソコン教えてだったり、立ち話だったり。

A:そうですね。何となくみんな仲良しなんです。
そういえば、近所に食べるところもないし、子供たちの時間も合わないので、ここに来てから外食はほとんどしなくなりました。
今は休日に近隣の友人と少人数で持ち寄りご飯会をするのが楽しいかな。帰宅してきた子供たちが大人の会話にちょっと参加してくる、そんな感じです。

鎌倉に長く住んでいる人たちは、鎌倉は駅から離れるほどに魅力が増す、と言いますね。
なんか分かるなあ、と思う最近です。

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