つぶやくふたり

talk about housing

リゾートみたいな風景

A:志水さん、今日は私がお願いしていたプランを見せていただけるということで、とても楽しみにしていました。最近お話をしている土地待ちのお客様を想定しています。

S:30坪前後の広いとは言えない家で、いかに豊かに暮らせるか見せてください、というオーダーでしたね。ご存知のように僕は小さな住宅が大好きなので楽しいお題でしたよー。

A:鎌倉は土地の値段が高いので、小さな土地に家を建てる方が多いと思います。既存の中古住宅はかなり広いことが多いので、実際30坪前後の家の暮らし方がどんな感じか想像できるようなプランが欲しかったんです。

まずは私が想定した家族設定ですが

:夫婦+小さい子供2人(夫:地元で自営業を営む、妻:専業主婦)

:夫、家に癒しと家族の寛ぎを求める、勉強スペースの確保は必要

:妻、家事がしやすい家を希望、キッチンは独立型を希望

と、こんな感じです。外ではストレスフルな毎日なので、家族でゆっくりと時間を過ごせる家が欲しいな、という方を想定しました。

S:そのオーダーに対して僕が考えたプランはこれ、建坪32坪強、106㎡の家です。オーソドックスに1階はリビングダイニング、2階がプライベートという分け方にしました。

小さく豊かにくらす家の図面

A:ふむふむ。志水さんらしい素敵なアプローチと玄関と収納があって、あ、玄関に手洗いスペースですね。手を洗ってリビングダイニングに行く、買い物をしてきた場合はそのままキッチンに。キッチンは独立型なのは今回のオーダーですが、志水さんはオープンなキッチンとどちらが好きですか?

S:僕は独立型が好きですねえ、最近のキッチンは要素(オーブン、食洗機、電気調理器具等)が多いのである程度広さが必要になりますよね。

これは家が大きくても小さくてもあまり変わりません。小さい家である程度の広さのキッチンを作ると、他の部分への皺寄せというか、リビングダイニングが視覚的に狭く感じてしまうのですよ。

A:確かに、キッチン5.5畳で、リビングダイニングが13.5畳。リビングダイニングにキッチンが侵食してきてしまう感じになるんですね。我が家は前の家は独立型のキッチンで、今の家はフルオープンなタイプです。

どちらも長所短所はありますね。

オープンタイプのキッチンは、誰もが料理をするとか、遊びに来た友人が料理を作ってくれるみたいな家には良いな、と思います。ただ視界に常にキッチンが目が入るから、小物の選び方など、前より慎重になったかもしれません。

独立型は一人で料理をしていて孤独な気分にもなりましたが、全てのものに手が届く便利さと、片付いてなくてもいいやという気楽さはありましたね。

我が家のオープンキッチン(これは片付いている時です)

S:どちらが良い悪いではなく、どんな暮らし方がしたいかで、よく考えて選べばいいと思いますよ。

A:はい。プランに戻りましょう!ダイニングはこじんまりとしていて居心地が良さそう。このソファベンチは窓の景色を楽しむベンチで、テレビの前は可動する一人がけのゆったりした椅子がある感じですね。

テレビの前=ソファってなりがちですが、ソファに座って家族でテレビを楽しむという期間は、実は短いですよね。今は映像を見るツールがテレビ以外に沢山あるので、各自楽しむようになるし。うちだけかもしれませんが、ソファは子供たちがダラダラとタブレットを見る場所になってる!

S:実感こもってますねえ。

僕は座り心地の良い一人がけの椅子は、ソファに勝ると思うので、ぜひお客様にはお気に入りの椅子を選んで大事に座ってもらいたいなあと思っています。

A:テレビ前は、家族の成長に合わせた可変性のあるスペースということですね。で、スタディスペースは完全に独立しているんですね。落ち着く空間ですね。

S:集中してお仕事の勉強などされたいのかな?と想像しました。今だと、ご夫婦共テレワークなどという家庭も多いので、こういう部屋が一つあると、オンライン会議の時はこの部屋に、といった使い方もできますね。

A:そうですね。最近ご相談いただくお客様はみなさまテレワーク空間を求めていらっしゃいますよね。普段はリビングダイニングで作業して、集中したい時はスタディルームに移動ができると、気分も入れ替えることができますよね。他にもこの部屋は作業途中のミシンをちょっと置いておくとか、いろいろできそう。ダイニングテーブルで作業に熱中してしまい、片付けどうしよう、、となるときがあるので。

S:実は便利部屋ですね、笑

A:2階にいきましょう。お風呂!これデッキに面しているんですね。

S:そうなんです、僕の好きな檜風呂を想像してください。デッキには1階の玄関から伸びる木があって、お風呂から緑を眺めて楽しむことができます。

A:なんと素敵な、、、お月様を見ながらお風呂上がりにここで涼んだりしたら、もう旅館に来たような気分になりますね。

S:そう、亜紀さんからもらっていた隠れテーマが「癒しの小さなリゾート」でしたからね。そのオーダーに応えてあります。実際ハードワークで帰ってきたら、お風呂は日本人でよかったと思えるひとときなので、大事にしたいと思いますよね。

A:わかります。私も朝からお風呂に入りたいくらいお風呂付きなので。温まるというのは健康にはもちろん、心にもいい影響がありますよね。体や髪を洗うという実用性だけじゃない豊かさがお風呂には欲しいんです。

S:だから亜紀さんは脱衣所にこだわりたいんですよね。脱衣所には洗濯機を置いて欲しく無いって、ずっと言ってますよね、笑

A:そうなんですよね。確かに機能的にはそこにあったほうが便利だし、スペースも無駄がないということはわかるんですけれど、、、お風呂に出入りするときくらい、洗濯物のこと忘れたいです。

S:大丈夫。今回のプランでは洗濯のための洗濯室を作りましたから。洗濯室では洗濯して乾燥させて、片付けるまでができるようにしてあります。家族分の普段着や下着など日常的な服はここでしまえるように考えました。

A:今の家には洗濯室のようなユーティリティがあるのですが、非常に便利です。湿度が高いですし、天候が不順な時のためにこういう部屋があるのはありがたいです。太陽で干したい時はデッキで外干しですね。デッキもこの位置にあると、洗濯物が目立たずに干せていいですね。

S:そうですね。癒しって理屈ではなくて、五感で感じるものですよね。美しいものだけが目に入る、檜風呂でお湯のまろやかさを感じる、デッキに出たら風の中で虫の鳴き声が聞こえるとかね。そういう小さい癒しを重ねていけば、リゾートにも負けないような空間になると思うんですよね。

リゾートみたいな風景
夕方の葉山、一色海岸

A:鎌倉、逗子、葉山あたりは海も山もあって、周辺環境的にはすでにリゾート感のある場所ですから、あとは空間を作るだけですね。

実際、家を小さめに作れば、全体的な予算を抑えることができるので、家の性能だけでなく、壁や床などの素材のグレードも上げることができますよね。値段が高ければ良いというわけではないけれど、要所要所、素材に予算を割くことができるというのは大事かなあ、と思います。

S:だと思います。空間の質が上がりますからね。僕は空間の質が良い=居心地が良いということだと思っていて、それが住宅では一番大事なんだろうと感じています。広さではないんですよ。

A:写真なんかでは伝わりづらい部分ですけれど、ぜひ住宅を建てる前に自分にとって居心地の良い空間ついて、ご家族で考えてみて欲しいですね。もちろん迷われた時は私たちに相談してくれたら!

S:いつでも相談にのりますよ!

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